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決戦は日曜日 36年ぶりの優勝が達成される8つの理由をアルゼンチンのジャーナリストが力説
TyC Sports のジャーナリスト兼プロデューサーがアルゼンチン代表のワールドカップ優勝を後押しする渾身のコラムを執筆

▲ 今回を最後のワールドカップと位置づけているアルゼンチン代表FWリオネル・メッシは悲願のタイトルを手にできるか(写真提供:Getty Images)
◇ ◇ ◇
ワールドカップの終わりが来た。カタールで7試合を戦うという最初の目標は達成されて、最後の課題が残されるところまでたどり着いた。そして我々全員の悲願でもある、アルゼンチン代表がワールドカップ優勝に値する複数の根拠をここに記す。
●● 理由1 ●●
まずは「魂」と関係がある。サウジアラビア戦で予想外の敗北を喫した逆境を乗り越えて、次のメキシコ戦からは重圧に苦しみながらも勝ち越せた。勝ち上がるためのハートが、このチームにはある。
●● 理由2 ●●
出場した全選手の規則性だ。弱点や欠点もなくはないが、見つけるのは難しい。ラウターロ・マルティネスがフリアン・アルバレスにポジションを奪われたのは事実だが、ラウターロはオランダ戦のPK戦でチームを勝利に導くPKを決めて“責任”は十分果たしている。あと、大会期間中に生じた複数のスタメン変更がうまく機能したことは強調しておきたい。エンソ・フェルナンデス、アレクシス・マカリテル、フリアン・アルバレスらの台頭は、チームに解決策の向上や斬新さ、そして多くの堅実性をもたらした。彼らは開幕前はスタメンではなかったが、その後のチームに良い影響を与えている。
●● 理由3 ●●
今大会で顕著なのは守備の素晴らしさ。“ディブ”ことGKエミリアーノ・マルティネスは、オーストラリア戦でのファインセーブやオランダ戦のPK戦で最初の2人を連続で止めたことは、決勝進出に欠かせない要素であったことは間違いない。ニコラス・オタメンディは、今大会で最高のセンターバックの一人だ。そして“クティ”ことクリスティアン・ロメーロとリサンドロ・マルティネスとの連係も上々だった。サイドバックのナウエル・モリーナ・ルセーロとマルコス・アクーニャは要所要所で重要な役割を果たした。そしてニコラス・タグリアフィコは、アクーニャが累積警告で欠場した準決勝のクロアチア戦でのパフォーマンスが素晴らしかった。
●● 理由4 ●●
負傷したジオバーニ・ロ・チェルソの不在が大きく影を落とすと思われていた中盤の盤石ぶりだ。ロ・チェルソの不在はデメリットだと心配していたが、エンソ・フェルナンデスとアレクシス・マカリテルがその穴を埋めて、チームに貢献したことは大きな成果だ。両者ともに、以前からアルゼンチン代表でレギュラーを担っていたかのような戦いぶりに、私は驚かされた。そしてロドリーゴ・デ・ポールは攻守において献身的に戦い「チームの心臓」として君臨。サウジアラビア戦はもうひとつだったが、試合を重ねていくうちに自身の課題を克服。デ・ポールの存在がチームメイトとスカローニ監督にとって、どれほど重要であるかを示した。
●● 理由5 ●●
5つめは、フリアン・アルバレスが頭角を現したことだ。彼のゴールと、献身的な前線からのハイプレスにより、“スパイダー”は現在のアルゼンチン代表において将来性も含めた欠かせない存在になった。
●● 理由6 ●●
スカローニ監督の采配にも着目。同監督は、今大会を通してその手腕と個性を存分に示している。彼は“ここぞ”というときの采配が最善であると考えたときには、キープレイヤーであっても交代させることを躊躇しない。さらに彼は、対戦相手の動向に応じてシステムを柔軟に変更する戦略も持ち合わせている。これは自チームでポジションが重なる選手の起用に対しても、同様だ。そして選手たちは監督の采配に対して、逆らわず問題なく適応した。
●● 理由7 ●●
7つめは、連帯と団結。今大会ではチーム内にエゴも分裂もない。最も重要なのは、チームとして全員で戦っている認識をみんなが理解・共有している事実だ。場合によっては、選手個人が輝きを失う状況とてある。その一例がアンヘル・ディ・マリア。彼は試合に出れば活躍したが、(準々決勝のオランダ戦で)5バックを導入したことでベンチを温めることになっても、反発せず素直に受け入れた。
●● 理由8 ●●
そして最後は、最も重要な理由をお伝えしたい。アルゼンチン代表には「世界最高の選手」がいるということだ。
リオネル・メッシはこれまではもちろん、今大会のワールドカップにおいても最高の選手であり続けている。すべての試合における絶対的存在だ。重要なゴールと、そしてアシストを決めるだけでなく、さらには守備においても存在感を示すようになっている。あたかも、時の流れを嘲笑でもしているかのように、メッシは35歳にして過去最高の次元に達している。試合はもちろん、ピッチ外での発言においても真のリーダーだ。代表チームはワールドカップのトロフィーをメッシにもたらすために地道な努力を惜しんでいないが、メッシ自身もワールドカップを獲るために“自身のすべて”を捧げ、その秀逸な才能を存分に発揮している。チームメイトはメッシのために戦い、“天才(メッシ)”はチームメイトに恩返しするように躍動している。この先何が起ころうと、メッシがサッカー界に残してきた“借り”は何もない。サッカーが美しいスポーツたる所以は、メッシのおかげだから。
◇ ◇ ◇
日付が変わった18日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス市内のオベリスコ塔には深夜にも関わらず、アルゼンチン代表を応援する国民が「寝る間も惜しんで」集結。その人数は右肩上がりに増えている。1986年以来となる36年ぶりの世界制覇へ、機は熟した。
2022.12.17
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