- Campeonato Paranaenseカンピオナート・パラナエンセ
決裂していたセードルフ氏の監督就任交渉 その裏に介在するエージェントの欲望
元オランダ代表MFクラレンス・セードルフ氏のアトレチコ・パラナエンセ監督就任を妨害したエージェントビジネスの闇
▲ 元オランダ代表MFクラレンス・セードルフ氏がアトレチコ・パラナエンセの監督に就任するはずだった契約は、仲介者の妨害によって破談になっていた。
問題を引き起こしているとされるエージェントは OTB Sports という会社で、アトレチコ・パラナエンセとセードルフ氏との交渉で同社がセードルフ氏の仲介役を務めた。当初、アトレチコ・パラナエンセの熱心な交渉は順調に進み、昨年のクリスマス頃にはセードルフ氏が監督とテクニカルマネージャーに就任するとの報道に至った。このニュースはブラジルだけでなく、セードルフ氏の国オランダでも報じられた。
だが実際のところは、交渉成立を目前にして OTB Sports による邪魔が入ったため、交渉は決裂してしまったという。この件について、アトレチコ・パラナエンセのマリオ・セウソ・ペトラグリア会長は次のような声明を出した。
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パウロ・アウトゥオーリ監督の退団を受けて、我々は監督探しを始めた。その際、OTB Sports の代表であるブルーノ・パイーバ社長が仲介役となって、セードルフ氏の提案をしてくれた。交渉は進み、セードルフ氏は12月にも我々の招待に応じてクラブハウスや練習場にも足を運んでくれた。
ところが、我々はエージェントの否定的な行為に直面した。OTB Sports が我々に対して莫大な仲介手数料を要求した。その額は、易々と呑めるものではなかったため、セードルフ氏の監督就任の話は凍結となってしまった。
今回の事象は、アトレチコ・パラナエンセに限ったことではなく、ブラジルのすべてのクラブチームに関係する問題だ。昨今の移籍交渉では、エージェントが豊かになる一方で、本来サッカーの主人公であるはずのクラブチームが貧乏になることが散見されている。暴利を得ようとする特定の組織による不謹慎な言動によって、選手ないしはクラブチームが不利益を被ることがあってはならない。
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セードルフ氏との交渉が成立目前となったときにエージェントが莫大な金銭(仲介手数料)を要求したことへの非難や、ブラジルサッカー界におけるエージェント制度について苦言を呈する内容だった。アトレチコ・パラナエンセはセードルフ氏の招聘に失敗しただけでなく、エージェントの策略によってブラジル代表GKウェベルトンをパウメイラスに放出する羽目になったことも暴露。他にもDFシジクレイや、U-17ブラジル代表MFマルコス・バイーアの移籍交渉を複数のエージェントが半ば強引に推し進めようとしている事実まで公にしている。
CBF(ブラジルサッカー連盟)には800人を超えるエージェントの登録があり、12〜13歳の選手のほとんどにもエージェントがついている。それらのエージェントは、若き才能を自らの資金で「青田買い」する形でエージェント契約を締結している。彼らがいずれスター選手に成長して欧州などへ移籍する際に、多額の仲介手数料をせしめるためだ。こうしたエージェントビジネスを牛耳っているのは5〜6社ほどの大企業グループといわれており、数社による「カルテル」が、このたびアトレチコ・パラナエンセとセードルフ氏との交渉を決裂させた要因。これが、アトレチコ・パラナエンセ側の主張である。
ペトラグリア会長の声明は、エージェントビジネスを糾弾するとともに抜本的な改革に着手することの重要性を主張して締めくくった。
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フットボールに何も貢献していない者たちの欲望によって確立された、この悪質で有害なマーケティングシステムに対するアトレチコ・パラナエンセの正式な抗議をここに明記する。これらのエージェントに代表される『悪』に対して、緊急性を伴う行動をとることが必要だ。フットボールの未来のために「やめろ!」と言って立ち上がることは、クラブチームと指導者、そして規制当局の責任だ。
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セードルフ氏の監督就任がほぼ失敗となったアトレチコ・パラナエンセは、現役時代にコリンチャンスやフルミネンセなどで活躍した43歳のフェルナンド・ジニス氏を監督として迎え入れている。
2018.01.13
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