
- Torneo Grita México Clausura 2022メキシコ1部リーグ 2022 後期

ケレタロのスタジアムで重大な暴動発生 ケレタロのインチャが原因とみられ多数の死傷者が出る惨事に
5日にケレタロで発生した暴動事件を受けてリーガMX(メキシコ1部リーグ)の後期第9節の5試合がすべて延期に

▲ ピッチからスタンドに通ずる通路を渡る暴徒の中には、椅子を振り上げて襲う輩も(写真提供:TyC Sports)
● 事件の全容
試合は、前半にアルゼンチン人FWフリオ・フルチのゴールでアトラスが先制。そして迎えた後半、57分頃にスタンドでケレタロのインチャ(サポーター)が暴徒化した。ゴール裏のスタンド全体を巻き込む大規模な暴動が起こると、スタンドの警備員は観客を逃がすべくピッチへと通ずる門を開放。逃げ惑う一般客は続々とピッチへとなだれ込んだが、暴徒までもがピッチに乱入すると収拾が付かなくなった。

▲ ピッチになだれ込んだ客同士の喧嘩も散見された(写真提供:AS Mexico)
リーガMXの公式発表では負傷者の報告こそあったが、(現地時間で5日20時現在で)死者はいないとされている。一方で、TV Aztecaの記者ダビ・メドラーノ・フェリックス氏によれば、17人もの死者が確認されたという非公式の情報も上がった。

▲ ピッチに逃げ込んだ女性客を守ろうとするアトラスのインチャ(写真提供:AS Mexico)
● 事件を受けてリーグ戦の延期を決定
この日別の都市で開催された他のリーグ戦は予定通り行われたが、AMF(メキシコプロサッカー選手組合)の要請を受けて、リーガMXは翌6日に予定されていた3試合をすべて延期にすると発表。そして、リーガMXの懲戒委員会とFMF(メキシコサッカー連盟)の懲戒委員会は、共同で今回の事件を調査すると発表した。
また、この試合の主役であるケレタロとアトラスの両クラブはSNSで暴動を非難する声明を発表。当局に要請して、犯人全員に責任を負わせると憤りをあらわにした。

▲ スタンドの一角では特定の観客が袋だたきにされる被害も(写真提供:AS Mexico)
ケレタロ州当局は、今回の事件における警備体制について発表。一部の警察官はスタジアムに常駐しているが、大半は民間の警備員が警備にあたっているという。そして今回の事件映像からは、警備部隊が主に女性で構成されていて、彼女らは暴動を解消させようとしたものの失敗したとの見解も示した。

▲ ピッチの側溝で動かなくなった被害者(写真提供:TyC Sports)
(今回の事件では被害者だが)アトラスは最近、インチャとの間で暴力の問題を抱えている。昨年は、同じ都市(グアダラハラ)ノライバルであるチーバス・グアダラハラとの間でも観客同士の乱闘があった。
そのアトラスで1996年にキャリアをスタートした元メキシコ代表MFラファエル・マルケス氏は、次のように嘆いている。
「残念ながら、ケレタロで起こったことは(メキシコの)全国で起こっている」
なお、62分に中断したこの試合の残りは、日を改めて残り28分間が行われるという。
リーガ BBVA Bancomer MX (メキシコ1部リーグ) 2022 後期 第9節 (2022/03/05) | ||
---|---|---|
ケレタロ | 0-1 中断 |
アトラス |
ワシントン・アゲーレ | GK | カミーロ・バルガス |
オマール・メンドーサ マキシミリアーノ・ペル エンソ・マルティネス エリック・ベラ |
DF |
ホセ・アベーラ アンデルソン・サンタマリア マルティン・ネルボ ガディ・アギーレ ルイス・レイェス |
ホルヘ・エルナンデス ケビン・エスカミーラ レオナルド・セケイラ パブロ・バレーラ |
MF |
アルド・ロチャ エドガル・サルディバル ジェレミ・マルケス |
ホセ・アングーロ アンヘル・セプルベダ |
FW |
フリオ・フルチ ジュリアン・キニョーネス |
ゴール | 29 フリオ・フルチ | |
エルナン・クリスタンテ | 監督 | ディエゴ・コッカ |
主審: フェルナンド・ゲレーロ・ラミーレス 会場: エスタディオ・コレヒドーラ (ケレタロ) |
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- 【コンテンツページ】リーガMX(メキシコ1部リーグ)2022 後期
2022.03.07
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