DO YOU SPEAK FOOTBALL?世界のフットボール表現事典

鶏、アルコナーダする、バルテズする、股抜き… 重大なミスを犯した守護神を揶揄した単語を一挙公開

サッカー本大賞2023で特別賞を受賞した「DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典」から一部紹介
▲ 『サッカー本大賞2023』で特別賞を受賞した「DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典」(写真:Toshihiro Nishino)
世界各国のサッカーにまつわる表現・用語を集めた英国の書籍「Do You Speak Football?」の日本語版、「DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典」が、『サッカー本大賞2023』で特別賞を受賞した。同賞の受賞を記念して、ユーモアにあふれた本書から一部を抜粋して当欄で紹介する。

vol.3【 frango 】フランゴ (ニワトリ)

ブラジル

2002年のブラジルの大作映画「シティ・オブ・ゴッド」のオープニングが示す通り、ニワトリは捕まえにくいものだ。だから、ゴールキーパーがあたふたとボールをこぼしてネットを揺らしてしまうことを「ニワトリ」と呼ぶのはぴったりだろう。ミスの多いゴールキーパーは frangueiro(フランゲイロ「、にわとり野郎」。ゴールキーパーを指すgoleiroとの合成語)と呼ばれたりする。他に、mão de alface(マォン・ジ・アウファーシ、「レタスの手」)という言い方もある。

ブラジルはゴールキーパーのミスに厳しく、辛辣だという長い歴史がある。 (中略) 1966年イングランド・ワールドカップ、ブラジルはグディソン・パークでポルトガル相手に1-3で破れ、大会を去った。この時、ボタフォゴのゴールキーパーだったマンガは、エウゼビオの左からのクロスを弾いたものの、それがアントニオ・シモンエスの正面に飛んでしまい、美しいヘディングを決められたのである。彼のミスで相手に先制点を許したとして、ゴールキーパーのミスを彼にちなんでマンゲラーダスと呼ぶようになり、マンガの名は永遠に残ることになってしまった。

vol.4【 faire une arconada 】フェール・ナルコナーダ (アルコナーダする)

フランス

フランスが初めて大きな栄冠を勝ち取るには80年かかった。その苦難の果ての栄光は、ミシェル・プラティニのゴールの才に多くを負っているが、スペインのゴールキーパー、ルイス・アルコナーダが思わぬ杜撰さを見せたせいでもある。
自国開催のユーロ1984で決勝に辿り着いたフランスは、パルク・デ・プランスでスペイン相手に苦戦していた。57分、ペナルティエリアの約1.5メートル外側わずかに左寄りの位置で、スペインのセンターバック、サルバが、ベルナール・ラコンブを倒してファウルになる。ここまで8ゴールを上げて既に大会のトップスコアラーだったプラティニは、フリーキックでゴール右下隅を狙った。アルコナーダはゴールのその側にポジションを取り、前方やや左に身体を投げ出しながら、比較的簡単にボールをセーブした。ところが、倒れた瞬間、身体の下からボールをこぼし、転がってゴールラインを越えてしまったのだ。 (中略) このフランス栄光の瞬間にバスク人のアルコナーダが果たした役割は、今でも語り草だ。ゴールキーパーが同じようなミスをすると、いつも「アルコナーダした」と言われるのである。

vol.5【 בירטוז 】ビルトゥズ (バルテズする)

イスラエル

ファビアン・バルテズは世界と欧州のチャンピオンとして、またイングランドとフランスで2度の優勝チームメンバーとしてキャリアを終えたものの、イスラエルでイングランドサッカーを観ている人々は、彼のマンチェスター・ユナイテッド生活を縮めるもととなったミス続きのパフォーマンスを忘れていない。イスラエルのサッカー用語では、このフランス人の名前は今でもゴールキーパーのミスを指す略語とされている。

vol.6【 garellate 】ガレッラーテ (ガレッラのようなゴールキーピング)

イタリア

クラウディオ・ガレッラは非常に独特なゴールキーピングのスタイルを持っていたため、独自の名前がついた。彼は天与の勇気とジャンプ力の持ち主だったが、ゴールキーパーのマニュアルにあるようなことはしない。ボールをキャッチすることはほとんどなく、パンチングで逸らすか遠くへ飛ばすかに決めていた。また、シュートブロックに手と同じくらい足や胸を使った。ラツィオ時代、ファンからPaparella(パパレッラ)というあだ名をつけられている。イタリア語のpapera(パーペラ)という単語に引っかけた冗談で、英語のhowler(ハウラー「大失敗」)に当たる。そして、彼の失態はガレッラーテと呼ばれることになった。 パーペラの元の意味は「アヒル」だが、ミスの多いゴールキーパーの意味で使われるのは、1912年3月、フランス代表に3-4で敗れた試合で、キーパーのヴィットーリオ・ファロッパが散々なデビューをした時に、イタリア代表監督だったウムベルト・メアッツァが述べたコメントに由来する。ファロッパの悲惨な出来について、メアッツァは「ヴィットーリオはゴールに大きな丸っこい両足で突っ立っていて、アヒルのようだった」と言ったのである。 (中略) 「ガレッラは世界一のゴールキーパーだ」と、ユヴェントスのオーナー、ジャンニ・アニェッリは言う。「手以外はね」。

vol.7【 grandelletje 】グランデレッチェ (ゴールキーパーのミス)

オランダ

フランス領グアダループ出身のゴールキーパー、フランク・グランデルは、2005年にフランスのトロワからFCユトレヒトに加入したが、オランダサッカー界でのスタートは悲惨なもので、自陣ゴールにゴールを放り込んでしまう不幸な癖を指すのに、グランデレッチェという造語ができたほどだった。

vol.8【 yalli 】ヤッリ (股抜き)

セネガル

1964年のセネガル杯決勝2nd.Leg、1-1で突入した延長線で、ウァカムのベテランフォワード、イブラヒーマ・ディオネがCOTの名GKヤッリ・ンディエゲネの股を抜いて、決勝ゴールを決めた。それ以降、セネガルでは股抜きをヤッリと呼ぶようになった。この語は日常的にも、誰かが騙された時や馬鹿にされたような時に使われる。他にゴールキーパーの股間を抜いたゴールを指す言い方にはbutoutaate(ブトゥ・ターテ、「尻のゴール」)がある。

(「DO YOU SPEAK FOOTBALL? 世界のフットボール表現事典」、P.48、P.159、P.207、P.196、P.226、P.339 より抜粋、一部引用) © Eastpress

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2023.06.14

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