Copa Libertadores 2000コパ・リベルタドーレス 2000

「主審がパウメイラスの連覇を阻んだ」 アスプリージャ氏が思い出すのは2000年のボカとの決勝戦

元コロンビア代表FWファウスティーノ・アスプリージャ氏が自身も出場した21年前のリベルタドーレス決勝を回顧
▲ ファン・ロマン・リケルメ(中央)からボールを奪おうとするマルコス・アウレーリオ・ガレアーノ(左)と元横浜フリューゲルスのセーザル・サンパイオ(右)(写真は2000年6月21日のもの)(写真提供:AFP)
2021年のリベルタドーレスは、パウメイラスの連覇で幕を閉じた。クラブ史上3度目の南米制覇を達成したパウメイラスの連覇は今回が初めてだが、実は21年前にもパウメイラスにはリベルタドーレスを連覇できるチャンスがあった。当時、パウメイラスの一員として連覇を目指して戦ったコロンビア代表(当時)FWファウスティーノ・アスプリージャ氏はその当時を振り返り、連覇できなかった理由などを赤裸々に語った。

◇ ◇ 2000年のリベルタドーレス ◇ ◇

2000年のリベルタドーレス決勝は「パウメイラス vs ボカ・ジュニオルス」。パウメイラスはブラジル代表(当時)MFアレックスを司令塔に置く攻撃的なスタイルでグループリーグを首位通過。決勝トーナメントでは初戦(ペニャロール戦)と準決勝(コリンチャンスとのクラシコ)をそれぞれPK戦の末に撃破しての決勝進出だった。一方のボカは、アルゼンチン代表(当時)MFファン・ロマン・リケルメを中心とするチームで、グループリーグを首位通過すると、決勝トーナメントでは準決勝まで2試合合計4点以上を必ず取る得点力の高さで勝ち上がった。

そして迎えた決勝。ホーム&アウェイの初戦、敵地に乗り込んだパウメイラスは先制を許すも前半のうちに追いつき、後半に一度は勝ち越されたが、(元ヴェルディ川崎の)エウレルのゴールで引き分けに持ち込んだ。この日、アスプリージャは86分からの途中出場だった。そしてブラジルのサンパウロで行われた7日後の 2nd.Leg 。パウメイラスは(のちに名古屋グランパスやサンフレッチェ広島に加入することとなる)マルセーロ・ハモスが前半に負傷退場したのを受けて、36分からアスプリージャがピッチに登場した

【スタッツ】コパ・リベルタドーレス 2000 決勝 1st.Leg ボカ・ジュニオルス 2-2 パウメイラス
【スタッツ】コパ・リベルタドーレス 2000 決勝 2nd.Leg パウメイラス 0-0(PK:2-4) ボカ・ジュニオルス

▲ PK戦を制してボカの優勝が決まり、モルンビーの放送席にいたディエゴ・マラドーナ氏は両手を握り締めて歓喜の雄叫びをあげた(画像は2000年6月21日のもの)(写真提供:SporTV)
1st.Leg は 2-2 、2nd.Leg は 0-0 。当時のリベルタドーレスにアウェイーゴル・ルールはなく、2nd.Leg の後半終了のあとにPK戦が行われた。(現パラグアイ代表監督の)ギジェルモ・バロシュケロットやリケルメら4人全員が決めたボカに対し、パウメイラスはアスプリージャとホッキ・ジュニオールの2人がコロンビア代表(当時)GKオスカル・コルドバにコースを読まれて止められ、決着。ボカが敵地でトロフィーを掲げ、前年王者のパウメイラスは連覇を成し遂げられなかった。

◇ ◇ もしもあのときVARがあったなら ◇ ◇

21年前にリベルタドーレス連覇まであと一歩だったパウメイラス。このとき決勝の2戦とも途中から出場したアスプリージャ氏は、当時を次のように振り返った。

「2000年の決勝戦(2nd.Leg)は、サムエルがペナルティエリアで私に対して明らかなファウルを犯した。本来はPK戦にもつれ込むような試合ではなかったんだ」

「あの時代にもしVAR(ビデオアシスタントレフェリー)があったら、我々(パウメイラス)にPKが3回は与えられていたはずだ。私がゴールを決められる状況での(サムエルによる)ファウルだったから。そう、あのとき主審は笛を吹くべきだった。パウメイラスにPKを与えるべきだったんだ。主審にパウメイラスの連覇を阻まれたようなものだったね」

当時を思い出してそう不満を述べたアスプリージャ氏は、PK戦で自身が外したときのことにも言及。

「残念ながらPK戦で負けたが、2戦の内容はタイトルに値するものだった。だが私はPK戦で決められなかった。相手のキーパーがコロンビア代表(当時)の守護神(オスカル・コルドバ)だったからね。ともに代表で過ごした私のプレイスタイルや癖を、彼は熟知していた。でもそれは言い訳じゃない。裏をかいてシュートを打てなかった私のせいだから」

連覇を逃した当時を回顧したアスプリージャ氏は、1月に行われた2020年のリベルタドーレス決勝でもパウメイラスを応援していたと明かした上で、「21年前に我々が達成できなかったリベルタドーレス連覇をぜひ達成してほしい。もし今回も勝てば、21年前の屈辱も少しは晴らせるだろう。全力で応援する」と述べていた。同氏の応援がチームに届いたのか、パウメイラスは11月27日に21年越しの悲願を成就したのであった。

◇ ◇ 欧州へ渡る前にブラジルへ行くべきだったと思う理由 ◇ ◇

▲ 1999〜2000年にパウメイラスで活躍した元コロンビア代表FWファウスティーノ・アスプリージャ氏(写真は2000年当時のもの)(写真提供:AFP)
アスプリージャ氏がパウメイラスにいた1999〜2000年、トヨタカップではマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に敗れたものの、その後コパ・リオ=サンパウロ(リオ・デ・ジャネイロ州とサンパウロ州の共催カップ戦)とコパ・カンピオンイス(ブラジルのカップウィナーズカップ)を優勝するなど、ブラジル国内で複数のタイトルを獲得した。振り返ると、同氏は1992年に母国コロンビアからイタリアのパルマへ移籍して7年間欧州で選手生活を送ったが、時を戻せるのなら欧州に渡る前にブラジルを挟みたかったという。

「私にとって、ブラジルでの生活はとても美しい思い出だよ。ブラジルでプレイすることでレベルアップできたし、素晴らしい環境が整っていた。もしヨーロッパへ行く前にブラジルのどこかへ移籍していれば、私のキャリアはより良いものになっていたと思うんだ」

「パウメイラスに加入したとき、私はすでに30歳だった。それでも、素晴らしいチームメイトと、これまでで最高の監督であるフェリポン(のちにブラジル代表をワールドカップ優勝に導くルイス・フェリッピ・スコラーリ監督)から多くのことを学んだからね」

「ブラジルでの時間は、私の人生においても重要なものだった。サンパウロ州やリオ・デ・ジャネイロ州の選手権でプレイできて、フルミネンセではブラジレイロンにも出させてもらえた。ブラジルではサポーターとの間に一体感があるし、私は応援してくれる全員に敬意を払って、いつもベストを尽くした。所属したチームにも恵まれたと思う」

ブラジルでの生活はわずか2年間だったが、アスプリージャ氏は短期間に多くのことを得たと感慨深く話す。そして、当時のチームメイトとは今でも仲良しだという。

「アレックスの素質・技術は素晴らしかった。(元横浜フリューゲルスの)セーザル・サンパイオとジュニオールの、重要な試合で臆せぬ姿勢に感心したし、決定的なゴールを決めるパウロ・ヌニスはシュート精度が高かった。ホッキ・ジュニオールも良い選手だったし、みんな今でも素敵な友人だよ。私がブラジルへ行ったとき、彼らに会って話すときはいつも楽しいんだ」

◇ ◇ コリンチャンスへの敵対心は試合中だけ ◇ ◇

そんなアスプリージャ氏も所属したパウメイラスは、コリンチャンスとのライバル関係があまりにも有名。1999年と2000年のリベルタドーレスでは決勝トーナメントでデルビー(クラシコ)が実現し、パウメイラスが2年連続でPK戦の末にコリンチャンスを蹴り落とす激闘となった。そして、両チームのサポーターによるいがみ合いも知られるところである。

しかし、アスプリージャ氏によれば、両チームの(サポーター同士はともかく)選手同士の敵対関係はあくまで試合中だけと主張。同氏は当時、コリンチャンスの選手とも仲が良かったと明かす。

「試合中のみバチバチだっただけで、ピッチを離れればみんな友だちだったからね。私が(当時住んでいたサンパウロの)自宅でシュハスコ(バーベキュー)をするときには、(当時コリンチャンスでゴールを量産していたブラジル代表FW)ルイゾンがいつも遊びに来たものだ」

「パウメイラスとコリンチャンスのライバル関係は、切磋琢磨していて素晴らしいバランスだよね。あの頃はどちらも攻撃的なチームだったから、デルビー・パウリスタではたくさんのゴールが生まれたし。私はコリンチャンスをリスペクトしていたよ。だからこそ、そんな“敬愛するコリンチャンス”を2年連続でリベルタドーレス敗退に追いやったときは大満足だったね!(爆笑)

アスプリージャ氏は、笑いながら21年前の昔話を締めくくった。

◆ ファウスティーノ・アスプリージャ

本名:
ファウスティーノ・エルナン・アスプリージャ・イネストローサ
生年月日:
1969年11月10日生まれ(
出身:
コロンビア(バジェ・デル・カウカ県トゥルアー)
身長:
176cm
ポジション:
フォワード (現役時代)

1988年にククタ・デポルティーボでデビューすると、いきなり17ゴールを挙げる活躍。1990年にはアトレティコ・ナシオナルに活躍の場を移し、1992年にパルマ(イタリア)に渡り、1993-1994シーズンには16ゴールをマークするなど長く活躍した。1996年からは2年半ニューカッスル・ユナイテッド(イングランド)でもプレイ。1999年にパウメイラス(ブラジル)に加入した。以降、フルミネンセ(ブラジル)、アトランテ(メキシコ)、ウニベルシダー・デ・チレ(チリ)と渡り歩いたが、ゴール数は徐々に減少。2004年に所属したデポルティーボ・コルトゥルアーとエストゥディアンテス(アルゼンチン)ではノーゴールに終わった。2004年に現役引退。コロンビア代表では1992年のバルセロナ五輪に出場したほか、1994年と1998年のワールドカップにも二度出場したものの、オリンピックとワールドカップではノーゴールに終わった。

コパ・リベルタドーレス 2000 決勝 1st.Leg (2000/06/14)
ボカ・ジュニオルス 2-2 パウメイラス
オスカル・コルドバ GK マルコス
ウーゴ・イバーラ
ホルヘ・ベルムデス
ワルテル・サムエル
ロドルフォ・マルティン・アルアバレーナ
DF ホッキ・ジュニオール
アルジェウ
ホジェーリオ
ネネン
セバスティアン・バタグリア
クリスティアン・トラベルソ
グスターボ・バロシュケロット
(セサル・ラ・パリア)
ファン・ロマン・リケルメ
MF マルコス・アウレーリオ・ガレアーノ
セーザル・サンパイオ
ジュニオール
アレックス
(チアゴ・シウバ)
クリスティアン・ヒメーネス
(マルティン・パレルモ)
アントニオ・バリーホ
(ギジェルモ・バロシュケロット)
FW ペーナ
(マルセーロ・ハモス)
エウレル
(ファウスティーノ・アスプリージャ)
ロドルフォ・マルティン・アルアバレーナ 21
ロドルフォ・マルティン・アルアバレーナ 61
ゴール 43 ペーナ
72 エウレル
クリスティアン・ヒメーネス
ファン・ロマン・リケルメ
グスターボ・バロシュケロット
クリスティアン・トラベルソ
イエロー
カード
ホッキ・ジュニオール
アルジェウ
ネネン
カルロス・ビアンチ 監督 ルイス・フェリッピ・スコラーリ
主審: グスターボ・メンデス (ウルグアイ)
会場: ラ・ボンボネーラ (ブエノスアイレス)
コパ・リベルタドーレス 2000 決勝 2nd.Leg (2000/06/21)
パウメイラス 0-0
PK
2-4
ボカ・ジュニオルス
マルコス GK オスカル・コルドバ
ホッキ・ジュニオール
アルジェウ
ホジェーリオ
ジュニオール
DF ウーゴ・イバーラ
ホルヘ・ベルムデス
ワルテル・サムエル
ロドルフォ・マルティン・アルアバレーナ
マルコス・アウレーリオ・ガレアーノ
セーザル・サンパイオ
アレックス
MF セバスティアン・バタグリア
クリスティアン・トラベルソ
ホセ・バスアルド
ファン・ロマン・リケルメ
ペーナ
(バジーリオ)
エウレル
マルセーロ・ハモス
(ファウスティーノ・アスプリージャ)
FW ギジェルモ・バロシュケロット
マルティン・パレルモ
  ゴール  
アレックス ○
ファウスティーノ・アスプリージャ ×
ホッキ・ジュニオール ×
ホジェーリオ ○
PK ○ ギジェルモ・バロシュケロット
○ ファン・ロマン・リケルメ
○ マルティン・パレルモ
○ ホルヘ・ベルムデス
セーザル・サンパイオ
アルジェウ
イエロー
カード
ギジェルモ・バロシュケロット
ホルヘ・ベルムデス
ルイス・フェリッピ・スコラーリ 監督 カルロス・ビアンチ
主審: エピファニオ・ゴンサーレス (パラグアイ)
会場: エスタジオ・ド・モルンビー (サンパウロ)
2021.12.02
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