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警官の少年銃殺事件で大統領が真相解明を約束 ボカ、リーベルら多くのクラブチームは哀悼のメッセージ
ブエノスアイレスで17歳のサッカー選手が警官に撃たれて死亡した事件が各方面に波紋を呼ぶ

▲ 射殺されたルーカス・ゴンサーレスの遺族を代表してグレゴリオ・ダルボン弁護士(左)は加害者である警官を厳正に裁くよう強く主張(写真提供:TyC Sports)
車中でバラカス・セントラルの下部組織に所属するルーカス・ゴンサーレスが頭部に銃弾を2発浴びて死亡した事件について、発砲した警官3人は職務違反に当たらないと主張。しかし遺族側は真っ向から反論し、故人の母親は「息子は練習に行くため5時に起きて出かけていった。それが息子との最期だった。警官がしたことに対して、警察と検察は投獄すべきで、多額の損害賠償を請求する」と全面対決の姿勢だ。
ルーカス・ゴンサーレスと同じ車に乗っていて警察に取り押さえられたジュリアンは、当時の状況を次のように振り返って憤りをあらわにした。
「警官3人は撃つ意志を持って撃った。絶望的な状況で、私は我々を助けてくれる別の警官を探して回った。その地域を巡回しているパトカーを発見してクラクションを鳴らしたのに、そのパトカーは我々を助けることなく去って行った。信じられなかった」
「車を制止した警官は、我々に降車するよう命令した。私は怖くて、現状を伝えるべく母に電話をかけた。警官は我々に手錠をかけて地面に押しつけた。そのとき警官は言ったんだ。『お前らは悪人であり、犯罪者だ』って。『だから発砲した』とも」
「奴ら(警官)は私の友だちを殺した。我々の持っていた練習着などをすべて取り上げた上で、友人を殴った。犯罪者のように扱ったんだ。我々は家族の待つ家に早く戻りたかった」
事件当時の生々しい様子がうかがい知れるその内容からは、4人の少年が受けた屈辱が容易に読み取れる。
事件発覚後、フロレンシオ・バレーラにあるルーカス・ゴンサーレスの自宅前には、友人知人や近所の人らが集まって怒りのデモ行進を始めるなど、遺族の悲しみに寄り添った。ほどなくして、警官を非難する声は各方面に波及していった。
ブエノスアイレスのオラシオ・ロドリゲス・ラレータ市長は「至近距離での残忍な殺人。警官3人の逮捕状を請求する」と明言して、発砲した警官を強く非難。そして遺族の代理人を務めるグレゴリオ・ダルボン弁護士は、「冷血な“殺人犯(警官)”が逮捕されるよう、英知を結集して闘う。責任は警官にある」との声明を出した。ディエゴ・サンティーリ副市長も「取り返しのつかない過失」との表現で警官3人を批判している。そして同市の警察署長は「重大な事案。正義のために動く警察がすることではない。毎日何千人もの警察官が街頭に出ていって、命を危険にさらしているのに。この事件は私たちの印象をひどく傷つけるものだ。必ず真実を明らかにする。3人を許すことはありえない」と激怒した。
アルベルト・フェルナンデス大統領もこの事件に言及。「遺族との連帯を表明する。このとてつもなく辛い瞬間に、彼の母シンティアと父マリオを助けるべく、国家の威信に懸けて真実と正義を明らかにする」と表明。大統領の発言には、遺族も驚き、感謝を示している。
安全保障省のマルセーロ・ダレッサンドロ大臣は「私が執った最初の措置は、職務から彼ら(警官3人)を隔離することだった。彼らは非常に悪質な行動をとった。警官は相手が身分を明かさなかっただけで発砲する権限などない。今回の場合、追跡もすべきではなかった。増して、正当防衛にあたる状況になかったにも関わらず、発砲するなど言語道断。街中にあるすべての防犯カメラを調査して、正義を明らかにする」と明言した。
事件を起こした警官3人については、国が国外への渡航を禁じる措置を講じているほか、逮捕状の請求も行われているため、近日中に逮捕される見込みだ。
アルゼンチンサッカー界もまた、深い悲しみに暮れている。AFA(アルゼンチンサッカー協会)は声明を出して、「ルーカス・ゴンサーレスの死に哀悼を示し、少年のカテゴリーすべてで3日間の喪に服す」と発表。そして故人が幼少期に所属したラシン・クルブは、「ルーカスの死に深く傷ついている。暗殺された彼の家族や友人たちと連帯して、正義を貫く」と、“暗殺”という二文字を用いて警官を糾弾した。
ボカ・ジュニオルスやリーベル・プレートを初め、インデペンディエンテ、サン・ロレンソなどほぼすべてのクラブチームがAFAと同様の声明を出して、死亡した17歳への哀悼を示した。無論、故人が所属するバラカス・セントラルも哀悼している。
2021.11.19
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