
- Campeonato Brasileiro Serie A 2022ブラジル全国選手権 1部 2022

バスコを昇格させた元鹿島のジョルジーニョ監督 「エジムンドとホマーリオからエールをもらった」
6日にセリエA昇格を果たしたバスコ・ダ・ガマのジョルジーニョ監督が記者会見で心境を述べる

▲ セリエA昇格を決めて心境を述べたジョルジーニョ監督(写真提供:Globoesporte)
まずは2年ぶりのセリエA昇格を果たしたことへの感想を述べたジョルジーニョ監督。
「このクラブで再び仕事ができて光栄だった。バスコはもう倒れないから、今年がセリエB(2部)で戦う最後だと確信している」
最終節までもつれ込んだ昇格争い。この日のイトゥアーノ戦における殊勲者を、ジョルジーニョ監督は守護神チアゴ・ホドリギスだと選定して賛辞を送った。
「サンパイオ・コヘーア戦(第37節)ではブーイングを浴びたが、今日の試合後に私はチアゴ(・ホドリギス)へ『バスコを数回救った』と絶賛した。前節の負けとて、彼一人の責任ではなく、チーム全体の責任だったから。今日は彼自身も自信を持って試合に臨めていたし、私は今日の結果に満足している」
事実、この日の守護神(チアゴ・ホドリギス)は何度も訪れたピンチでファインセーブを連発。それだけに、ジョルジーニョ監督が手放しで称賛するのも当然のことだ。続けて、サンパイオ・コヘーア戦を落とした直後の、チームの様子についても明かした。
「私自身も選手だったから、重要な試合を落とした直後の選手を包み込む負の気持ちは理解しているつもりだ。私はあの日、敗北の痛みを受け入れなければならないとみんなに伝えようとしたが、彼らの死んでいない目を見て、私が改めて伝えることはないと確信したんだ。昇格という目標を、選手全員が見ていた。そんな目をしていたから大丈夫だと思えた」
そして最終節の前には、偉大なOBからも応援してもらっていた事実を告白したジョルジーニョ監督。
「今季の昇格に向けて、私を後押ししてくれた男が二人いる。エジムンドとホマーリオの二人だ。ともにバスコの歴史に残る偉大なストライカーだよね。ホマーリオは『バスコはイトゥアーノを超えなければならない』という一言だった。具体的な言及はなかったが、きっと彼が言いたかったのは『バスコはバスコだから、この試合を負けるわけにはいかないんだぞ』ということだろうと理解している。エジムンドからはチームを信じる言葉を届けてもらった。このビッグクラブのアイドルである“友人たち”に心から感謝したい」
ブラジルではSAF(フットボール・ソサイエティ)が制定・施行されて1年以上が経過している。SAFとは、いわゆるサッカー法人法で、この法律により各クラブチームは個々に株式会社を設立して資金を調達することが可能になった。ジョルジーニョ監督は、SAFの重要性も挙げた上で、バスコが今後セリエBに降格する心配はないと明言した。
「来年は、今年までとは違う戦略を実践できると確信している。チームの補強体制に、その下支えとなるSAFと多額の投資。資金面でこれまでのような悩みを抱える心配はないだろう。年間を通して安定したチームを形成できるし、バスカイーノ(バスコのサポーター)を今後降格の悲しみに包ませる心配はないだろう」
ジョルジーニョ監督は、現役時代に所属していた2000〜2001年当時のバスコの栄光が忘れられないらしく、あの頃の強さを取り戻したいと力説している。
「バスコの成功を祈っている。2000〜2001年に収めた輝かしい瞬間を、再び送れるようにね。すべての選手がホマーリオ級ではないし、そんなチームを作るのは無理筋だが、それでもバスコはセリエBにふさわしくない。今の面々には高いポテンシャルがあるから、来年はセリエAでも戦えると信じている。ひとまずは、昇格をお祝いしたいね」
そしてジョルジーニョ監督は、この日の対戦相手であるイトゥアーノにもエールを贈った。
「カルロス・ピメンテウ監督にお疲れ様と伝えたい。彼らは前節まで10試合以上無敗で順位を上げてきた。昇格は叶わなかったが、今季の戦いぶりは素晴らしいものだった。ルーカス・ジアスとジェルソン・マギロンの二人はとくに優秀だと思う。選手個々の目にも、組織にも“血”が流れていることがハッキリとわかった。2023年は4位以内に食い込めるチャンスが十分あるだろう」
◆ ジョルジーニョ
- 本名:
- ジョルジ・ジ・アモリン・カンポス
- 生年月日:
- 1964年8月17日生まれ()
- 出身:
- ブラジル(リオ・デ・ジャネイロ州リオ・デ・ジャネイロ)
- 身長:
- 175cm
- ポジション:
- 右サイドバック、ボランチ (現役時代)
幼少期に事故で父を亡くし、貧乏な少年時代を送る。13歳で地元の名門アメリカFCに入団すると、サイドバックとして鍛えられて1982年に17歳でトップチームに昇格。1984年にはフラメンゴに移籍し、ジーコやジーニョらとともに活躍した。1989年にはバイヤー・レヴァークーゼン(ドイツ)に活躍の場を移すと、1992年からは名門バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)でブンデスリーガ優勝にも貢献した。1995年からはジーコの兄エドゥーの誘いを受けて鹿島アントラーズ(日本)に加入し、2度のJリーグ優勝など複数のタイトル獲得に貢献した。1999年以降はサンパウロ、バスコ・ダ・ガマと母国のクラブでプレイし、2002年のフルミネンセを最後に現役を引退。2006年からは監督業を始め、2012年には古巣の鹿島アントラーズも指揮した。近年は母国ブラジルのクラブで監督を歴任している。元ブラジル代表。
2022.11.06
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