- FIFA World Cup 2014FIFAワールドカップ 2014 ブラジル大会
▲ベロ・オリゾンチの位置
ベロ・オリゾンチで最初に産声を上げたクラブチームはアトレチコ・ミネイロ。1908年3月22日、22人の若者によって「アトレチコ・ミネイロ・フットボール・クラブ」として設立した。のちに現在のクルービ・アトレチコ・ミネイロとなるこのクラブは、1915年に始まったミナス・ジェライス州選手権の初年度に優勝している。
アトレチコ・ミネイロの最大のライバルであるクルゼイロが設立されたのは、1921年1月2日。イタリア系移民によって設立されたクラブチームであったため、クルゼイロは当初「ソシエタ・スポルチーバ・パレストラ・イタリア」(略称:パレストラ・イタリア)という名称だった。ちなみに、設立4年後の1925年まではイタリア系移民の入団しか受け付けていなかった。
第二次世界大戦中の1942年、連合国側についたブラジルの国策によって「イタリア」を連想させる名称の改名が強制されて、パレストラ・イタリアは現在の「クルゼイロ」になった。クルゼイロという名の由来は南半球でしか見られない星座の名前を用いたとされているが、当時のチーム関係者は「パレストラ・イタリア」の名称変更に二の足を踏んでいたそうで、クラブ名の変更に10ヵ月もの月日を要したとも伝えられている。
現在、同州における最大のクラシコは「アトレチコ・ミネイロ×クルゼイロ」だ。しかし、クルゼイロが州選手権を初優勝する1956年以前は「アトレチコ・ミネイロ×アトレチコ・アメリカ」の対決こそが同州最大のクラシコと呼ばれていた。事実、アトレチコ・アメリカ(現在のアメリカ・ミネイロ)は1916年から州選手権10連覇というV9の読売ジャイアンツも顔負けの偉業を達成しており、地元には昔ながらのサポーターが数多く見受けられる。
州選手権における優勝回数はアトレチコ・ミネイロが41回、クルゼイロが36回と2強が突出している(2012年現在)。だが、リベルタドーレスの優勝経験が1度しかない前者に対して、過去に2度リベルタドーレスを制している後者のほうが優れていると主張するクルゼイロの熱烈なサポーターは少なくない。
▲ 周囲を緑に囲まれたミネイロン。近くには綺麗な川が流れている。
そんな両者のうちクルゼイロがホームスタジアムとするのが、州都ベロ・オリゾンチに佇むエスタジオ・ゴベルナドール・マガリャイス・ピント(通称:ミネイロン)だ。
こけら落としが1965年であるため、このスタジアムは1950年のブラジルW杯でUSAがイングランドを破る大番狂わせ(ベロ・オリゾンチの奇跡)を起こした舞台とは異なるが、ミナス・ジェライス州のサッカーの聖地として広く親しまれている。
ミナス・ジェライス州が生んだ最良の選手は、エドゥアルド・ゴンサウベス・ジ・アンドラージ(略称:トスタォン)。クルゼイロのストライカーとして活躍し、当時のブラジル代表にも選出されてペレとのコンビで名を馳せた彼は「白いペレ」の異名をとった。
また、ミナス・ジェライス州の出身ではないが、W杯最多得点記録を持つリオ・デ・ジャネイロ州出身の元ブラジル代表FWホナウドは、クルゼイロでプロのキャリアをスタートさせている。
以上のように様々な逸話が交錯する州の都ベロ・オリゾンチは、多くの人口を抱えるブラジル第4の大都市だ。63年前には「ベロ・オリゾンチの奇跡」が起こった街でもある。来年のワールドカップでも再び奇跡を創造するのか。美しい地平線と近代的な夜景にとらわれることなく、ミネイロンのピッチに目を向けていたい。
名称 | エスタジオ・ゴベルナドール・マガリャイス・ピント (愛称=ミネイロン) |
---|---|
収容人数 | 62,547 |
コートの広さ | 110m×75m |
開催予定試合 | グループリーグの4試合、決勝トーナメント1回戦、準決勝 |
ホームチーム | クルゼイロ、アトレチコ・ミネイロ、アメリカ・ミネイロ、イパチンガ |
街の人口 | 2,375,444 |
オススメ観光地 | セッチ広場、タンクレッド・ネービス国際空港(コンフィンス空港) など |
2013.02.01
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