FIFA World Cup 2014FIFAワールドカップ 2014 ブラジル大会

ワールドカップの開催都市12のうち８つは海に面しており、内陸部の開催都市は４つ。ベロ・オリゾンチ、首都ブラジリア、マナウス、そしてクイアバーだ。マト・グローソ州は西にボリビアと国境を接しており、州都であるクイアバーは平均気温が22〜27度と暖かく、一年を通して半袖で暮らせる街である。

南米大陸のほぼ中央に位置しているため標高が高そうな印象があるが、クイアバーの標高は165mと低く、市内にはパラグアイ川の支流であるクイアバー川が流れている。この川を下るとパラグアイ、そして果てはアルゼンチンに至る。

クイアバーのあるマト・グローソ州は15世紀後半から16世紀にかけてはスペインの植民地であったが、金山の発掘を契機として18世紀末にポルトガルが占領。その結果この地域にはポルトガル語が浸透して、のちのブラジルの一角となった。なお、この街は1727年に設立された記録が残されており、その後パラグアイと対峙した三国同盟戦争の戦場にもなり、一時荒廃した歴史もある。20世紀の前半には、開発が進むブラジル東部（サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロ、ベロ・オリゾンチ）に遅れをとるも、ブラジル西部の要所として少しずつ発展を遂げてきた。

クイアバーにおける最も古いクラブチームは、1925年創設のクルービ・エスポルチーボ・ドン・ボスコ。同州最古の名門で、創設当初サッカーに夢中になった多くの市民による絶大な支持を得たとされている。ホームスタジアム「エスタジオ・ド・ベルドン」は47,000の収容数を誇るが、来たるブラジルワールドカップでは使われない予定となっている。

同州の名門チームには他にクルービ・ダ・コリーナ・イルミナーダなどもあるが、同州ならびに州都クイアバーにおける最大のクラブチームはミスト・エスポルチ・クルービ。1934年の創設で、マト・グローソ州選手権では述べ24回の優勝を誇る名門だ。ブラジル全国選手権では1976年から約10年間に渡り断続的にセリエA（1部）に昇格していたこともある。男女平等主義を謳うクラブとして男女混合の“混合”を意味する misto が語源であり、Mixto という表記でも「ミクスト」とは発音しない。そのチーム名には、かつては男性ならではのスポーツとして女性への排他的な思考が根強かった当時のブラジルサッカー界に一石を投じる意味も込められていた。

同州におけるクラシコは「ミスト vs オペラーリオ」とされるが、オペラーリオことクルービ・エスポルチーボ・オペラーリオ・バルゼア-グランデンシ（C.E.O.V）はクイアバー近郊のバルゼア・グランジを本拠地とするクラブチーム。そのため、クイアバーのクラシコは「ミスト vs ドン・ボスコ」であり、この対戦は『クラシコ・ボボ』という愛称がついている。

クラシコ・ボボの主役である両チームの本拠地である「エスタジオ・ド・ベルドン」ことエスタジオ・ゴベルナドール・ジョゼ・フラジェッリは、これまで70年以上に渡りクイアバーのサッカー史を彩った由緒ある舞台である。ブラジルワールドカップの開催決定直後はそのまま使用される案もあったが、老朽化が著しいため一度取り壊された上で同じ場所に新スタジアムが建設されることとなった。

日本の冬の気圧配置“西高東低”になぞらえると、ブラジルの経済情勢や発展は“東高西低”と比喩することもできる。アマゾンを初めとする熱帯雨林の多い西部において開催される数少ない開催都市のひとつとして、ワールドカップ開催に合わせて進んでいるスタジアムの完成が、ゆくゆくは街全体の希望となることを影ながら祈る。

名称	アレーナ・パンタナウ
収容人数	47,000
コートの広さ	105m×68m
開催予定試合	グループリーグの4試合
ホームチーム	ミスト、クイアバーEC、ドン・ボスコ、オペラーリオ
街の人口	544,737
オススメ観光地	クイアバー歴史館、測地線センター、クイアバー州都大聖堂、アルテサォン結婚式場、職人の家、マエ・ボニファーシア州公園、絵画と音の博物館 など